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メールDNS独自ドメインImprovMX個人開発

非エンジニアでもわかる独自ドメインメールの引っ越し。レンタルサーバーを解約してImprovMXに切り替える手順

ブログを閉じるなどの理由でレンタルサーバー(エックスサーバーなど)を解約するとき、気になるのが info@自分のドメイン.com のような独自ドメインのメールです。サーバーと一緒にメールも使えなくなるのでしょうか。

答えは 「DNSの設定しだい」 です。メールがどこに届くかはサーバーではなく DNS(ドメインの住所録)で決まります。そのため、住所録を書き換えておけば、サーバーを解約してもメールはそのまま使えます。

本稿では、chiapuru.com のメールをエックスサーバーから無料の転送サービス ImprovMX に移した作業を例に、仕組みと手順を順番に説明します。専門用語は、すべて郵便にたとえて説明します。

なお、本稿の仕組みの説明は、書籍『実務で使える メール技術の教科書』(増井敏克 著、翔泳社)で学んだ内容をもとにしています。

そもそもメールはどうやって届くのか

メールの配達は、郵便とほぼ同じ仕組みで動いています。

メールの世界 郵便でたとえると
ドメイン(chiapuru.com) 住所
DNS(ドメインの設定を管理する仕組み) 郵便局の住所録
MXレコード 「この住所あての手紙はここへ届けて」という届け出
メールサーバー 手紙を受け取るポスト
転送サービス 転送届(届いた手紙を別の住所へ回してくれる)

誰かが hello@chiapuru.com にメールを送ると、送った側のメールシステムはまず住所録(DNS)を開き、「chiapuru.com あての手紙はどこへ?」と MX レコードを確認します。そこに書いてある宛先へメールが届けられます。

つまり、MX レコードの向け先さえ変えれば、配達先は新しい場所に切り替わります。 引っ越しの本体はこの書き換えです。

今回の構成:届いたメールをGmailへ転送する

今回は、独自ドメインあてのメールを受け取るポストを「ImprovMX」に変更し、受け取ったメールをいつも使っている Gmail に転送する構成にしました。

送り主 → hello@chiapuru.com → ImprovMX(転送届) → いつものGmail

ImprovMX(インプルーブ・エムエックス)は、独自ドメインあてのメールを別のアドレスへ転送してくれるサービスです。転送するだけなら無料で使え、メールを保管するサーバーを自分で借りる必要がありません。メールを読むのも整理するのも、使い慣れた Gmail で行えます。

手順1:ImprovMXにドメインを登録する

  1. ImprovMX にアクセスし、トップページの入力欄にドメイン名(例:chiapuru.com)と転送先のメールアドレス(例:普段使っている Gmail)を入力します。
  2. アカウントを作成すると、管理画面に「このDNSレコードを設定してください」という案内が表示されます。この画面は手順2で使うので開いたままにしておきます。

転送するアドレスは管理画面で追加できます。*(ワイルドカード)を指定すると、info@ でも contact@ でも、どのアドレスあてのメールもまとめて転送されます。

手順2:DNS(住所録)を書き換える

ドメインの DNS を管理しているサービスの画面を開きます。chiapuru.com は Vercel で DNS を管理しているため Vercel の Domains 画面を使いましたが、お名前.com や Cloudflare などでも、設定する内容は同じです。

設定するのは次の3種類です。

MXレコード:配達先の届け出

種類 名前 値 優先度
MX @(ドメインそのもの) mx1.improvmx.com 10
MX @ mx2.improvmx.com 20

優先度は数字が小さいほうが先に使われます。mx1 が本命のポスト、mx2 は mx1 が使えないときの予備です。

古い MX レコード(レンタルサーバーや以前の転送サービスのもの)は削除します。 古い届け出が残っていると、手紙が古いポストに配達されることがあります。

SPFレコード:なりすまし防止の名簿

種類 名前 値
TXT @ v=spf1 include:spf.improvmx.com ~all

SPF(エス・ピー・エフ)は、「このドメインの名前でメールを出してよいのは、この人たちだけです」という名簿です。受け取った側はこの名簿を見て、送り主が本物かどうかを判断します。

SPF はドメインごとに 1行だけ しか置けません。すでに v=spf1 から始まる行がある場合は、新しい行を追加せず、既存の行に include:spf.improvmx.com を書き足します。

DMARCレコード:怪しいメールを見つけたときのルール

種類 名前 値
TXT _dmarc v=DMARC1; p=none; rua=mailto:レポートを受け取るアドレス

DMARC(ディーマーク)は、「名簿(SPF)に載っていない送り主からのメールを見つけたら、どう扱ってほしいか」を伝える設定です。p=none は「受け取りは拒否せず、報告だけしてほしい」という意味です。まずはこの設定で始めるのが安全です。

もう一歩詳しく知りたい場合は SPF・DMARC に、DKIM(メールに押す電子的な割り印)を加えた3つは「送信ドメイン認証」と呼ばれ、Gmail が2024年から送信者に設定を求めるようになった重要な仕組みです。本稿では転送に必要な範囲だけを扱っていますが、3つがどう連携してなりすましを防ぐのかといった送信ドメイン認証の全体像は、『実務で使える メール技術の教科書』で体系的に解説されています。

手順3:切り替わったか確認する

DNS の書き換えが世界中に行き渡るまでには、数分から数時間かかります。

ImprovMX の管理画面で確認する

ドメインの横の表示が緑色の「Valid」(正しく設定されている)になっていれば、設定は完了しています。

ターミナルで確認する(任意)

Mac のターミナルで次のコマンドを実行すると、住所録に書かれている内容を直接確認できます。

dig +short chiapuru.com MX
# 10 mx1.improvmx.com.
# 20 mx2.improvmx.com.

dig +short chiapuru.com TXT
# "v=spf1 include:spf.improvmx.com ~all"

dig は DNS に問い合わせるコマンドです。ImprovMX のアドレスが表示されれば、住所録の書き換えは完了しています。

実際にメールを送って確認する

最後に、スマホのキャリアメールなど 別のアドレス から hello@chiapuru.com あてにメールを送り、転送先の Gmail に届くことを確認します。転送先の Gmail から自分あてに送ると、Gmail が同じメールを重複とみなして表示しないことがあるため、テストには必ず別のアドレスを使います。

手順4:独自ドメインで「送信」もできるようにする

ここまでの設定でできるようになるのは 受信(転送)だけ です。Gmail で返信すると、差出人は Gmail のアドレスのままになります。

独自ドメインのアドレスで送信するには、Gmail の「他のアドレスからメールを送信」機能を使います。

  1. Gmail の 設定 → アカウントとインポート → 他のメールアドレスを追加 を開きます。
  2. 差出人にしたい独自ドメインのアドレスを入力します。
  3. 送信に使う SMTP サーバー(メールを送り出す郵便局の窓口)を登録します。

SMTP サーバーは、ImprovMX の有料プランや、メール送信サービス(Resend など)で用意できます。どのサービスを使う場合も、そのサービスを SPF の名簿に追加 しておかないと、送ったメールが迷惑メールとして扱われやすくなります。

レンタルサーバー時代の SMTP(sv****.xserver.jp など)を登録している場合は、解約すると送信できなくなるため、新しい設定に置き換えておきます。

レンタルサーバーを解約する前のチェックリスト

DNS を書き換えても、解約するまではレンタルサーバー側に古いデータが残っています。解約すると消えてしまうので、先に次の項目を確認しておきます。

  • MX と SPF にレンタルサーバーの名前が残っていないか — dig で確認し、xserver などの文字列が出てこなければ問題ありません
  • 新しい経路で送受信できるか — 別のアドレスとの間でメールを送り合って確認します
  • 過去のメールのバックアップ — 残しておきたいメールがあれば、IMAP(サーバー上のメールをアプリで読む仕組み)で Mac のメールアプリなどに取り込んでおきます
  • Gmail の送信設定 — 古い SMTP サーバーが登録されたままになっていないか確認します
  • Webサイトやブログのデータ — サーバー上にブログがあれば、記事・画像・データベースを保存しておきます
  • ほかのドメインや自動実行の設定 — 同じ契約で別のドメインや定期実行(cron)を使っていないか確認します

すべて確認できたら、レンタルサーバーを解約しても、独自ドメインのメールはそのまま使えます。

まとめ

  • メールの配達先を決めているのはサーバーではなく DNS の MX レコード(郵便局の住所録)
  • MX を転送サービス(ImprovMX)に向け直せば、レンタルサーバーがなくても独自ドメインでメールを受け取れる
  • SPF(送ってよい人の名簿)と DMARC(怪しいメールの扱い方)もあわせて設定する
  • 転送だけでは送信できないため、独自ドメインで送信するには Gmail の「他のアドレスから送信」と SMTP を別途設定する
  • 解約前に、古いメールのバックアップと送信設定の置き換えを済ませておく

メールのためだけにレンタルサーバーを契約し続けている場合は、転送サービスに切り替えることで、固定費を抑えながら独自ドメインのアドレスを使い続けられます。

メールの仕組みを基礎から学ぶなら

今回の作業は、画面の指示どおりに DNS を書き換えるだけでも完了します。ただし、「なぜ MX を変えると配達先が変わるのか」「なぜ SPF がないと迷惑メールになるのか」がわかっていると、トラブルが起きたときに自分で原因を切り分けられます。メールが届かない、送ったメールが迷惑メールフォルダに入る、といった問題の多くは、DNS の設定ミスが原因です。

その土台を固めるのに適しているのが、『実務で使える メール技術の教科書』(増井敏克 著、翔泳社)です。副題のとおり「基本のしくみからプロトコル・サーバー構築・送信ドメイン認証・添付ファイル・暗号化・セキュリティ対策まで」を1冊で扱っており、本稿で郵便にたとえた配達の流れも、実際にサーバー同士がどんなやりとりをしているのかというレベルまで掘り下げて説明されています。

特に次のような人に向いています。

  • 独自ドメインのメールを自分で設定・管理している個人事業主や個人開発者
  • 社内のメール設定やなりすまし対策を任された情報システム担当者
  • Webサービスから通知メールを送る実装をするエンジニア

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※本記事にはAmazonアソシエイトのリンクが含まれます。Amazonのアソシエイトとして、chiapuru.comは適格販売により収入を得ています。

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