Story
チアプル、創業の物語
チアプルという名前は、会社をつくるために後から考えた名前ではありません。
その始まりは、とても個人的なものでした。
「チア」は、小学生時代に呼ばれていたニックネームに由来しています。
「プル」は、学生時代に使っていた名前の一部から生まれました。
当時は、そこに明確な意味を持たせていたわけではありません。
けれども、人生を振り返ると、チアプルという名前は、ずっと私自身の歩みを表していたように思います。
私は20代前半、舞台芸術の世界にいました。
舞台に立つ直前、いつも身体が震えていました。
失敗するかもしれない。
でも、何かが起こるかもしれない。
観客に届くかもしれない。
自分たちの表現が、誰かの心を動かすかもしれない。
不安と期待が入り混じった、あの感覚。
それは単なる恐怖ではありませんでした。
挑戦の前にだけ訪れる、特別な震えでした。
いま思えば、それは武者震いだったのだと思います。
その後、私は大学病院で働きました。
医療の現場には、患者のために尽くす人がいました。
新しい知見を探究する研究者がいました。
教育、研究、診療が複雑に重なり合う中で、社会に価値を届けようとする人たちがいました。
そこでも私は、挑戦する人たちを見ていました。
命に向き合う人。
未知の課題に向き合う人。
制度や組織の制約の中で、それでも前に進もうとする人。
30代になり、私は大学で研究推進や予算管理、産学連携に携わりました。
また、経済産業省でも産学連携政策や政策形成に関わりました。
そこでは、また別の形の挑戦に出会いました。
研究者には、社会に役立つ知識や技術がある。
企業には、解決したい課題がある。
大学には、知を社会へ届ける役割がある。
しかし現実には、それらが必ずしもつながっていませんでした。
お互いを知らない。
言葉が通じない。
制度が複雑である。
誰に相談すればよいかわからない。
価値がないのではありません。
むしろ、価値はある。
ただ、それが必要とする人に届いていない。
私はそのことに、強い問題意識を持つようになりました。
振り返ると、舞台芸術、医療、大学、産学連携、政策という一見ばらばらな経験には、ひとつの共通点がありました。
それは、
まだ存在しない価値を生み出そうとする人たちのそばにいた
ということです。
舞台に立つ人。
医療や研究に向き合う人。
新しい技術を社会に届けようとする人。
企業との共同研究に挑む研究者。
新規事業に挑む企業。
そして、起業という未知の道に踏み出そうとする自分自身。
私はいつも、挑戦する人たちに惹かれてきました。
そして、挑戦の前に人が感じるあの震えを、よく知っています。
チアプルの「Cheer」は、応援すること。
チアプルの「Pull」は、人と人、人と知識、人と機会を引き寄せること。
そして私にとってもう一つの「Pull」は、
挑戦の前に身体がプルプルと震える、あの武者震いです。
その震えは、弱さではありません。
不安でもありますが、同時に情熱でもあります。
怖い。
でも、やりたい。
できるかどうかわからない。
でも、踏み出したい。
その震えこそが、創造の始まりだと私は考えています。
チアプルが目指すのは、単なるマッチングサービスではありません。
研究者と企業をつなぐ。
知識と社会をつなぐ。
挑戦者と支援者をつなぐ。
創造する人と、それを必要とする人をつなぐ。
そのための仕組みをつくることです。
AIの登場によって、その可能性は大きく広がりました。
研究者の専門的な知識を、企業に伝わる言葉へ翻訳する。
企業の課題を、研究者が理解できる形に整理する。
埋もれている研究、技術、人材、アイデアを発見する。
そして、それを必要としている人に届ける。
これまで人の経験や偶然に頼っていた出会いを、テクノロジーによって拡張できる時代になりました。
しかし、私がつくりたいのは、AIそのものの会社ではありません。
私がつくりたいのは、
挑戦する人を応援し、その挑戦が社会につながるための基盤
です。
チアプルは、挑戦する人を応援します。
研究者の挑戦を応援する。
企業の挑戦を応援する。
学生の挑戦を応援する。
アーティストの挑戦を応援する。
起業家の挑戦を応援する。
分野は違っても、挑戦する人には共通する瞬間があります。
それは、不安と期待が入り混じり、身体が少し震える瞬間です。
チアプルは、その震えを消すのではなく、支えたい。
その震えを、次の一歩へ変える存在でありたい。
私自身の人生もまた、挑戦の連続でした。
舞台芸術から始まり、医療、大学、産学連携、政策、AI、そして起業へ。
一見すると遠回りに見える道のりでしたが、いま振り返ると、それはすべてチアプルにつながっていました。
価値あるものが埋もれない社会へ。
挑戦する人が孤立しない社会へ。
人・知識・機会がつながり、新しい価値が生まれ続ける社会へ。
そのために、私はチアプルを創業します。
